会社の備品の買い出しで外に出ていた時の事。
コンクリート張りの商店街の向こうから、
黒と藍色の綺麗な模様のアゲハ蝶が、宙を泳ぐ様にこちらまで流れて来たんです。
目の前でヒラヒラ舞っていたと思ったら、
自転車を押していた私の左手に一瞬だけ留まって、またすぐ飛び去って行きました。
留まる瞬間に感じた風がとても小さくて柔らかくて
指に留まった時の感触がほんの少しだけ擽ったくて
花びらが翻る様に飛び立つ姿がとても優美で余韻を引いて
何の事は無いのですが、
只それだけの話なのですが、
あのものの数秒で色んなものが取り払われて行った様な、
純化した様な心持ちがしたんです。