基本を修め、【型】を培った者が【型】を超え、
【型】に嵌らない趣向や考えへ投じる事を「型破り」と人は呼び、
一方で地の結ばない内から型破りに臨んで行く事を、
人は「形無し」と名付けました。
事を成すには必ず土台が設けられる。
基盤となるベースが必要になり、
基礎と成る型が求められる。
刺繍を仕立てる過程の様に、
礎石となる織り合わせがそこには必ず存在する。
積み立て盤石した型があるからこそ、
初めて模様は興されて、
ようやく意匠は際立ちそして見栄えする。
布石が備えられるからこそ、
次の糸は生かされる。
均整に詰めた糸の組み上げがあるからこそ、
基礎の上は発展する。
物事を行うにも一人の人としての在り方にも、
一貫して言えるのは、
地盤となる【根】を自身の根底に根付かせる作業を決して避けてはいけないという事。
手抜かりにしてはいけないという事。
結わえ上げた下地の編み目が繊細な木目(きめ)を持つからこそ、
変則なより合わせは反映されて繁栄する。
整えた土壌に種を添えて行くからこそ、
花は空へ背を張れる。
捧げた時間は活かされて、
自分の時間は生かされる。
そこに【型】が有るからこそ、
型破りは通用する。