同時に二画は一緒に書けない。
書けるのは常に【一画】ずつ。
その一画は時に「止め」も「跳ね」も「払い」もしますが、
そのどれもが「文字」という【表現】を表す上で欠かす事の出来ない【要素】であって、
失ってはいけない【一面】なんです。
その【一画】が一本でも抜けたなら、
表現一つ出来なくなる。
思い描く表情一つ、表したい感情一つ、
届く事が出来なくなるのかも分からない。
様々な【一画】や【一面】を併せ持つ事で、
それらが互いに守り、補い、支え合い、引き立て合う事で、
文字も人も個性を持ち響きを持ち、
味わいを持って量感を増すのだとも思うんです。
成長とは、常に【一段】の繰り返しです。
目の前にせり出す台の数は一段だし、
振り出せる足は【一本】ずつ。
足元に突き出した段差は近くで見れば【支障】であり【躓き】なのかも知れませんが、
遠くから眺めてみた時に、
それは常に断続的に続いている事に気付く筈です。
この断続的に続く段差を、
人は「階段」と呼ぶのではないのでしょうか。
「躓き」とは、すなわち階段の一画です。
「成長する」とはつまり【行き詰まり】に遭う事です。
そして「行き止まる」とは、
この段差を登る為の【考える時間】に出会えるという事なんです。