「最期の晩餐は何が良いか」と聞かれたら、
今の自分なら間違いなく「母さんの握った塩結び」と答えるのだと思います。
基本的に料理の苦手な母ですが、
塩結びに関しては文字通り「炊き立て」のご飯でいつも握ってくれたんですよね。
それが凄く美味しいから自分も倣おうとしたのですが、いかんせん本当に「炊き立て」なもので、
お米が熱くてとてもじゃないけど真似出来んのですよ。
料理に洗濯に掃除に買い物。
家の為に家族の為に、
赤切れてふやけて厚くなった母の手だからこそ握る事の出来た味なのだと痛感します。
中学生の頃、
友達が自宅へ遊びに来た際に「お菓子を用意していなかったから」と出してくれた数個の塩結び。
それを皆が「本当に美味しい!!」と平らげてくれた日の思い出は、
おもはゆくも忘れがたい、私のささやかな自慢です。